星座で801ログ保管庫出張所

桜に攫われる話 051

「我が兄は言いました。『その内にお逢いできたら』との事です」
翌朝、山羊からの伝言を伝えた。
「安心してください、あくまで健全な人間関係を築きたいのでしょう」
最も、何か起きたなら容赦なく伝えてほしい。それなりの判断を下そう。とは考えるものの、もし本当にそんな事が起きたらどーすればいいんだろ。
「どうすればって…何も起きないんじゃないのかな?」
しっかし一方通行歴4年目(憶測)の男がする事なんて想像もつかないし。
「4年?何が?」
「何がって…あれ?蟹さん読心術使い?」
「…牡羊くん、喋ってたよ?」
「えぇ!?うわ…」
危うく秘密を暴露するところだった。
「4年って…あれです、ちょっとした事なのです」
「嘘をつく時、男性は相手から目を逸らすってさ」
「ほ、本当なんです?よ」
「悪いけどもう遅い。でも正直なのは嫌いじゃないよ」
いい子いい子、という風に頭を撫でられた。
「それで、もう教室行ったほうがいいよ。遅刻するよ?」
「はーい」
校舎へと向かう途中、門の傍に植わっている桜が視界に入る。