星座で801ログ保管庫出張所

桜に攫われる話 023

昨晩。
「何だ!?俺は親切心からやってるぞ?肝が据わってるんだか据わってないんだかわかんねぇ奴だな」
「お前親切の意味知ってて言ってるのか!?」
思わず来た方向へ戻りそうになった。
友人宅から喧嘩する声が聞こえてきたら、戻りたくもなる。それが自尊心の高い友人なら尚更。
その友人と口論している相手も相手。随分と嫌なタイミングで来てしまった。
(…それにしても、この声どこかで…)
藍色の蛇の目傘をくるくる回しつつ記憶を辿る。傘には桜が描かれている。
心当たりのある顔があった。
(あいつ、やってくれたもんだ)
友人の顔を思い浮かべながら苦笑し、あの子達は今も幼馴染を覚えてるのだろうかと笑を消す。
何はともあれ。
「あのなぁ…」
喧嘩も少しテンションが下がりつつあるようだ。
気を取り直し、友人達がいる家を訪問する事にした。