星座で801ログ保管庫出張所

桜に攫われる話 006

「牡羊といい、皆この話を怖いと思ってくれないののかねぇ。
確かに、この学校には何百人もの人がいるさ。
でも自分が5人の内1人に選ばれる確率はゼロじゃないんだぜ?それとも蠍って怖い話好き?」
「ううん。ゲームセンターにあるゾンビとかも無理」
「あれ和風ホラーではないしな」
「和風洋風も、あんまり関係ないかな」
「おおう、今、なぞなぞしてる気分になってきた」
双子は焦らすねーと笑いながら、内心眉をひそめていた。
この新しいクラスメートは反応を楽しむに適さない気がする。
軽い気持ちで話せば話すほど、追えば追うほど戻るのが難しそうというか。
深入りするなら、こっちも覚悟しなくてはいけないような。何の覚悟をするのかわからないが。
「うーん、桜の話はそんなに気に入ってくれたわけだ。ありがと」
話を切り上げようとした時、
「そうだな、この話、好きかも」
突き刺すような視線が双子に向かって飛んできた。蠍に悪意はないのだろうが、彼が話し出したタイミングは、双子にとって都合の悪いタイミングだった。